日本歯周病学会会誌
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原著
Streptozotocin誘発糖尿病がrhBMP-2による骨形成に及ぼす影響
岩坂 憲助根岸 淳山路 公造川浪 雅光
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2004 年 46 巻 4 号 p. 266-277

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抄録

本研究は, streptozotocin (STZ) 誘発糖尿病態下でのリコンビナントヒトBone Morphogenetic Protein-2 (rhBMP-2) 投与による骨形成を検討する目的で, 担体としてポリ乳酸グリコール酸共重合体/ゼラチンスポンジ複合体 (PGS) を用い, 正常ラット, STZ誘発糖尿病ラットおよびインスリンを投与したSTZ誘発糖尿病ラットの口蓋部骨膜下を実験部位 (N=54) として, PGSのみを埋入した群 (nonDM-PGS群, DM-PGS群, INS-DM-PGS群), rhBMP-2配合PGSを埋入した群 (nonDM-BMP群, DM-BMP群, INS-DM-BMP群) に分けて実験を行った。6週後に病理組織学的観察を行うとともに, 新生骨の厚さを組織学的に計測した。その結果, いずれの群においても既存骨とほとんど一体化して新生骨の形成が観察されたが, 新生骨の厚さに違いが見られた。骨新生厚さを比較すると, PGSを埋入した3群間では, DM-PGS群が有意に小さかった。rhBMP-2を埋入した群とPGSを埋入した群を比較した場合, nonDM-BMP群, DM-BMP群, INS-DM-BMP群は, それぞれnonDM-PGS群, DM-PGS群, INS-DM-PGS群より有意に大きかった。rhBMP-2を埋入した3群間を比較した場合では有意差は見られなかった。以上の結果から, STZ誘発糖尿病状態では創傷治癒時の骨新生は低下するが, rhBMP-2の骨新生増加作用は影響を受けず, 既存骨と連続して新生骨を添加・増生させることが示唆された。

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© 2004 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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