膵臓
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原著
急性膵炎の長期転帰
上田 隆黒田 嘉和竹山 宜典安田 武生松村 直樹沢 秀博中島 高広阪上 順一片岡 慶正加嶋 敬大槻 眞
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2005 年 20 巻 5 号 p. 455-464

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抄録

厚生労働省研究班による調査結果を総合し, 急性膵炎 (重症311例および中等症403例, 発症後13~18年経過症例) の長期転帰を解析した. 飲酒継続例は30.4%であった. 急性膵炎の再発は20.3%にみられ, アルコール性で32.4%と高く, 胆石性で7.4%と低かった. 飲酒継続例の急性膵炎再発率は57.7%と高く, 慢性膵炎確診移行例では74.5%に急性膵炎の再発を認めていた. 急性膵炎再発例において, 再発時に膵壊死を伴ったものや手術を要したものは少なかった. 慢性膵炎確診例への移行は14.8%にみられ, アルコール性で26.0%と高く, 胆石性で1.7%と低かった. 飲酒継続例の慢性膵炎確診例移行率は40.9%と高く, 3回以上の急性膵炎再発例では61.4%が慢性膵炎に移行していた. 慢性膵炎確診移行例において, 半数近くに膵石や外分泌障害を認めた. 糖尿病合併率は13.0%にみられ, アルコール性で20.6%と高かった. 飲酒継続例の糖尿病合併率は37.2%と高かった. 糖尿病合併例において, 糖尿病発症時期に特徴はなく, インスリン治療例が多かった. 悪性腫瘍による死亡率は6.0%であった. 以上より, アルコール性膵炎および飲酒継続例において長期転帰が不良であることが判明した.

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© 2005 日本膵臓学会
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