AUDIOLOGY JAPAN
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補充現象と蝸電図CM
野口 佳裕西田 裕明堤 剛前原 浩史小松崎 篤
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1997 年 40 巻 2 号 p. 120-126

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抄録

ABLBテストと自記オージオメトリにて補充現象陽性を呈したメニエール病6耳と聴神経腫瘍4耳を対象に蝸電図を施行し, 主にCMから補充現象を検討した。 1, 2, 4kHzの短音刺激にて得られたCMの検出閾値 (dBnHL) は, 全耳で正常コントロールに比べ上昇し, 蝸牛障害が示唆された。 しかし純音聴力レベルと比較しCMが良好に記録された聴神経腫瘍例も存在した。 このことは心理学的検査上の補充現象陽性所見は, 内耳性難聴の存在は診断できるものの, 後迷路性難聴の有無は判別できないことを意味していると考えられた。 1kHz-CMの入出力曲線では, knee pointより強刺激音圧下では正常コントロールと差を認めず, これはCMにおける補充現象を示す所見と思われた。 一方APの入出力曲線では, メニエール病例でL-反応に類似した傾きを呈し, これのみでは補充現象の所見が得られなかった。 従ってCMとAPの両入出力曲線から補充現象を評価すべきと考えられた。

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