日本畜産学会報
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ブロイラー雌の成長,屠体の質および血清脂質に及ぼすピコリン酸クロムの影響
本薗 幸広波多野 和広菅原 徳夫石橋 晃
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1998 年 69 巻 7 号 p. 659-665

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抄録

ブロイラー雛にピコリン酸クロムを給与した場合の発育,屠体成分および血清脂質への影響を調べた.1日齢の雌雛(チャンキー)を1週間市販飼料で群飼した後,各区20羽ずつ3群に分け,1から3週齢までは粗タンパク質(CP)21.5%,代謝エネルギー(ME)3,100kcal/kg,3から6週齢まではCP18.3%,ME3,200kcal/kgの基礎飼料に,ピコリン酸クロムをクロムとして0,200,400ppbになるように添加した飼料を自由摂取させた.体重は1,3,6週齢の3回測定した.飼料摂取量と飼料要求率は1から3週齢,3から6週齢の期間で測定した.試験終了時に採血して血清中の総コレステロールと中性脂肪を測定し,更に屠殺して腹腔内脂肪と皮なし胸肉と皮付きもも肉の粗脂肪,CP,水分を測定した.増体重,飼料摂取量,飼料要求率のいずれにおいてもクロム添加の影響はなかった.腹腔内脂肪率は,クロム含量が増加するに従い,低下する傾向であった.しかし,皮付き胸肉重量および皮付きもも肉重量とそれらの生体重当りの割合には影響はなかった.皮なし胸肉の粗脂肪含量はクロム添加(400ppb)で低下した.皮付きもも肉はクロム添加によって,粗脂肪含量は低下し,水分含量は増加した.CP含量はいずれの部位でも影響は見られなかった.血清中の総コレステロールと中性脂肪はクロム添加による影響はなかった.以上の結果から,増体重,飼料効率を下げないで可食部肉の粗脂肪含量を低下させる可能性が示された.

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