日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
超高齢者の動脈硬化に関する医生物学的研究
百寿者における大動脈脈波速度と動脈硬化指数
秋坂 真史安次富 郁哉安達 正則田中 旨夫鈴木 信
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1993 年 30 巻 6 号 p. 467-473

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抄録

動脈硬化の進行度を表す臨床的指標として生理学的に算出された大動脈脈波速度 (PWV) と生化学的に求められた動脈硬化指数 (AI) が知られている. 前者は主として大動脈の硬化度を, 後者は主に細小動脈の硬化度を知る指標と考えられる. われわれは超高齢者, ことに百寿者におけるPWVおよびAIについて検討するため, 沖縄県在住の健康百寿者40名 (男7名, 女33名; 平均101.1歳: 100~105歳) を対象とし, 70歳以上90歳未満の健康老齢者92名 (男45名, 女47名; 70歳代74名うち男36名, 女38名; 80歳代18名うち男9名, 女9名; 平均75.8歳) を対照に比較検討した. PWVについては全百寿者の平均値 (10.15m/s) は全対照の平均値 (8.45m/s) に比べ有意に高かった (p<0.0001). AIでも全百寿者の平均値 (1.91) と全対照の平均値 (2.59) との間に有意差を認めた (p<0.0001). PWVとAIの間には百寿者と対照老人で, おのおのr=0.0049, r=0.094と双方とも相関は認められなかった. しかし分布の様相にはおのおの特徴が見られ, 対照老人と百寿者では動脈硬化の部位およびその進行状況が異なっている可能性があることが示唆された.

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