日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
メタアクリル酸亜鉛の重合挙動
斉藤 孝臣浅田 美佐子西村 浩一豊田 明宣
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 67 巻 12 号 p. 867-872

詳細
抄録

ゴム(HNBR, NBR)/メタアクリル酸亜鉛/過酸化物系でのメタアクリル酸亜鉛の重合挙動および引張強さを測定した.
重合率はゴムの種類への依存性は小さく主として過酸化物濃度に依存する. 過酸化物濃度の増大とともに増大するが, 90%以上になると過酸化物濃度依存性は小さい. グラフトポリマー数はNBRでは未反応Zn(MAA)2の対数に逆比例して増大し, 80%重合率ではHNBRの4.6倍であった. また, HNBRは重合率80%まではわずかなグラフト量で80%を超えると急激に増大する. 生成するポリメタアクリル酸亜鉛の分子量の逆数は過酸化物量の少ないところでは過酸化物の1/2乗に比例して増大するが, 過酸化物の多い重合率の高いところでは過酸化物量への依存性は小さい. NBRはHNBRの約1/4であり, グラフトポリマー数が4.6倍であることからNBRのようなグラフト性の高いゴムではゴムへのラジカルトランスファーが主として分子量を決めていると推定される. HNBRの引張強さは重合率80%を超えると平衡になり50MPa以上の強度となる. 以上からこの系はメタアクリル酸が溶解して重合していると推定される.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本ゴム協会
前の記事 次の記事
feedback
Top