日本食品低温保蔵学会誌
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収穫後の湿度条件がキュウリ, ナスおよびピーマン果実のエチレン生成に及ぼす影響
薛 彦斌久保 康隆稲葉 昭次中村 怜之輔
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1996 年 22 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

エチレンによる青果物鮮度低下の総合防止策の基礎資料として, 湿度条件 (20, 53, 80および97%RH, 25℃) とキュウリ'シャープワン', ナス'筑洋'およびピーマン'京波, 果実のエチレン生成様相との関係について調査した。
1. 高湿区では各果実ともエチレン生成はほとんど認あられなかつたが, 保持湿度が低いほど重量減少は大きくなり, それに伴ってエチレン生成量が増加し, また生成時点も早くなつた。特に, 急速な水分損失が起こるとエチレン生成も急激であり, 6-9時間でピークに達した後減少する傾向が認められた。
2. 3種果実とも急速変湿条件 (97→80→97%RH, 97→53→97%RH, 97→20→97%RH) では変湿幅が大きくなるほどエチレン生成量が多くなり, また生成開始も早くなった。低湿によっていったんエチレン生成が誘導された後, 再び高湿度に戻してもエチレン生成はそのまま継続した。
3. 急速な水分損失に伴って, ACC含量, ACC合成酵素及びACC酸化酵素活性が急激に高くなったが, 特に果皮でその傾向が強く認められた。
以上の結果から, 低湿度条件は水分損失を通じてエチレン生成の誘導要因となり, 鮮度保持の観点から好ましくないことがうかがわれた。

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