日本醸造協会誌
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インドネシア産餅麹ラギから分離した乳酸菌の同定
アジアにおける穀類麹とその微生物に関する研究 (第4報)
内村 泰岡田 早苗小崎 道雄
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キーワード: インドネシア, ラギ, 餅麹
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1991 年 86 巻 1 号 p. 55-61

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抄録


(1) ラギ中より分離された乳酸球菌としては, 四連球菌であるP.pentosaceus, 桿菌としてL.fermentum, L. plantarumの3菌種が分離された。
(2) しかしこれらの菌の中でもP.pentosaceusが圧倒的な菌数を占めることから, この菌がラギ中の乳酸菌の主要菌であり, ラギを用いて酒の醸造を行う場合の主発酵菌であることが示唆された。
(3) ラギから, 四連球菌であるP.pentosaceusが, 非常に高い頻度で分離されてくる原因として, 天然開放で製造されている餅麹中で当然その存在が予想された各種乳酸菌のうち, 増殖速度の違いにより生育の早い球菌が, 製造されたラギ中で先に増殖すること, また分離菌を用いて桿・球両菌を用いて比較してみると, 球菌は桿菌に較べ乾燥耐性が大であることなどから, ラギ製造過程において四連球菌が選択的に, 生き残ったのではないかと推察した。

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