日本大腸肛門病学会雑誌
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I.潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘,回腸肛門吻合術の長期予後
池内 浩基中埜 廣樹内野 基中村 光宏野田 雅史柳 秀憲柳生 利彦外賀 真橋本 明彦山村 武平
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2005 年 58 巻 10 号 p. 861-865

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抄録

潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘・回腸肛門吻合術は,粘膜切除法の改良により,最近では55.9%の症例で1期的手術が行われていた.また,周術期死亡率は年代別に見ると,3.4%から1.3%に減少し,早期pouch機能率は97.4%から99.7%に向上するなど,手術の安全性が向上したことが明らかとなった.
排便機能は排便回数の中央値が5回で,soilingは昼間で90%以上,夜間でも60%以上の症例で見られなかった.
長期的なpouch機能率は経過観察期間にも左右されるが,粘膜切除を歯状線を含めて切除するようになり,痔瘻が原因でpouch機能が維持できなくなる症例は減少していた.
長期合併症として,pouchitisの累積10年発症率は12%と欧米の報告よりも低率であったが,pouchitisに肛門病変を合併した症例の予後は極めて不良であった.また,潰瘍性大腸炎からクローン病へ病名が変更になる症例が累積20年で4%存在した.

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