日本消化器外科学会雑誌
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早期診断により治癒しえたイレウス管留置によるSchönlein-Henoch紫斑病合併腸重積症の1例
佐藤 暢人猪俣 斉畠山 純一加藤 紘之
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2005 年 38 巻 5 号 p. 539-544

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抄録

症例は55歳の男性で, 嘔気, 腹痛を主訴に近医を受診し, 入院. イレウスの診断でイレウス管挿入となったが, 改善しないため当院に紹介された. 受診時, 強い嘔気を認めた. 腹部単純写真で, イレウス管は弛みなく留置され, 胃は拡張していた. 超音波検査, CTで, イレウス管を中心にして小腸が蛇腹状に手繰り寄せられ, 一部に腸重積を疑わせる所見を認めた. 腹部症状が軽度であったため, 管抜去による保存的治療を選択したが, 症状は軽快し, 画像検査でも腸重積の所見なく経過した. また, イレウスの原因はSchonlein-Henoch 紫斑病によると考えられた. イレウス管による吸引療法を行う際, 合併症の一つに腸重積の発症があることを念頭において経過を観察すべきである. また, 腸重積が癒着で強く固定する前に早期診断することができれば, 保存的治療での改善が見込めるため, 疑わしい場合には, 画像診断を積極的に行って病態の把握に努めるべきである.

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