2006 年 39 巻 2 号 p. 253-259
再発を繰り返していた小腸gastrointestinal stromal tumor (以下, GIST) に対し, 4回の手術とイマチニブの内服治療にてCT上CRが得られた症例を経験したので報告する. 症例は70歳の男性で, 下腹部痛にて受診した. CTで下腹部に15cm大の境界明瞭で内部は充実部と. 胞部が混在する腫瘍を認めた. 小腸造影およびガストログラフィン内服併用CTで腫瘍と小腸内腔の交通を認め腫瘍を含む小腸部分切除を行った. 病理学的にGISTと診断された. その後, 約3年間に3回の腹腔内再発を認め, 2・3回目は開腹し腫瘍切除を行った. しかし, 4回目の手術時には多発肝転移も認めた. このため, 主病巣のみ切除しその他はイマチニブの治療効果に期待した. 遺伝子解析にてexon11に変異を認め300mgより開始. 投与1か月後で縮小効果を認め, 400mgに増量し投与10か月後にて多発肝転移部・腹腔内再発部ともにCT上CRと判断された. 現在まで副作用なく投与継続中である.