頭頸部腫瘍
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口腔扁平上皮癌におけるβカテニンおよびリン酸化βカテニンの発現とリンパ節転移および予後との関連
榊 敏男田村 功田村 浩伸和唐 雅博田中 昭男覚道 健治
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2003 年 29 巻 4 号 p. 623-631

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抄録

口腔扁平上皮癌一次症例156例を対象にE型カドヘリン, βカテニンおよびホスホチロシンの発現を免疫組織化学的および生化学的に検索し, 頸部リンパ節転移と予後との関連を検討した。免疫組織化学的には, これらの分子の局在は主として癌細胞膜にみられた。頸部リンパ節転移例, び漫性浸潤を示す癌ではE型カドヘリンが, 細胞膜で減弱あるいは細胞質に発現がみられた。これらの症例では, βカテニンおよびホスホチロシンが細胞質や核に発現がみられた。頸部リンパ節転移例と非転移例間において, E型カドヘリンの減弱あるいは細胞質での発現と, βカテニンおよびホスホチロシンの細胞質や核での発現に有意差を認めた。
免疫沈降法によるチロシンリン酸化βカテニンは強陽性 (++), 陽性 (+), 弱陽性 (±), および発現しないもの (陰性) (-) の4段階に発現程度を判定した。リン酸化βカテニンは転移例であきらかに多く認められ, 陰性群および弱陽性群と陽性群, および陽性群と強陽性群との間にそれぞれ統計学的に有意差が認められた。また, 陰性群と強陽性群との間にはP<0.0001で統計学的に有意差を認めた。
βカテニンのリン酸化から検討した累積生存率において, 陰性群および弱陽性群と強陽性群とのおのおの群間において有意差 (P<0.001) を認めた。また, Cox proportional hazard regression analysis においてP=0.020で相関性を認めた。

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© 日本頭頸部癌学会
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