日本植物病理学会報
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キウイフルーツ果実軟腐病菌Diaporthe sp.およびBotryosphaeria dothideaによる枝枯症状
衣川 勝佐藤 豊三
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2003 年 69 巻 4 号 p. 373-383

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抄録

近年,香川県で樹齢が10年以上のキウイフルーツ樹に枝枯れが多発している.枝の大きな切断痕や日焼け部から枯れ込みが進み,側枝,亜主枝が枯れる場合が多い.病勢の著しい場合,亜主枝,主枝まで枝枯れが進み胴枯れ症状を呈し,樹全体が枯れる場合もある.罹病枝から高率に分離されたPhomopsis属菌およびF. aesculiをキウイフルーツの枝に接種した結果,いずれも枝枯れ症状が再現され,接種菌が再分離された.
Phomopsis属菌については,子のう世代および分生子世代の形態,培養上の諸性質,およびキウイフルーツ,ミカン,およびリンゴの果実,またモモおよびナシの枝に対する接種試験の結果から,キウイフルーツ果実軟腐病菌のうちDiaporthe菌と同一種であった.また,F. aesculiについても,子のう世代および分生子世代の形態,培養上の諸性質,およびキウイフルーツ果実への接種試験の結果から,キウイフルーツ果実軟腐病菌B. dothideaと同一種であった.これらの結果から,キウイフルーツ果実軟腐病菌のDiaporthe sp.,およびB. dothideaにより枝枯症状が起きることが明らかとなった.

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