ササユリの地理的変異を明確にすることを目的とし, 各地から収集した系統を1996年11月から1997年7月にかけて一斉に栽培した.栽培中の形態と生理的形質について9項目に地理的な相違または勾配が認められた.そのうち, 地理的な傾向が比較的明瞭な8形質を用い主成分分析を行い, 次の5型を認めた.1. 和歌山県と三重県(紀伊半島)の型.晩生・中型・細い葉・出芽から開花に8週以上を要する.2. 静岡県から兵庫県に分布する型.中生・中型・葉が細い.3. 岐阜県および石川県から山口県および愛媛県に分布する型.晩生・大型・葉が広い.4. 新潟県から鳥取県および奈良県にかけて分布する型.やや早生・やや小型・葉が広い.5. 徳島県と宮崎県に分布する型.早生・小型または中型・花被色が強い.