東北家畜臨床研究会誌
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乳牛における分娩後のCa剤静脈内注射が子宮修復に及ぼす影響
大浪 洋二大野 みつ江村上 ちか子菊池 元宏大沼 秀男
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キーワード: Ca剤, 子宮修復, 分娩, 乳牛
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1994 年 17 巻 2 号 p. 86-91

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抄録

FおよびMの2牧場のホルスタイン種経産牛23頭を2群に区分し、F牧場の6頭、M牧場の9頭には分娩後2日にCa剤を静脈内に1回投与し(投与群)、両牧場の各4頭にはブドウ糖溶液を投与し対照群とした.そして、直腸検査および超音波画像診断装置を使用して子宮と卵巣の回復状況を調べた.その結果、1)子宮内内容物の消失時期は、投与群と対照群でF牧場ではそれぞれ分娩後平均24.8と32.8日、M牧場ではそれぞれ25.1と38.0日であった.2)子宮の形状が回復したと見なされた時期は、F牧場では投与群と対照群でそれぞれ分娩後平均19.0と20.5日、M牧場ではそれぞれ15.1と22.5日であった.弾力性が回復した時期はF牧場ではそれぞれ分娩後平均20.3と19.8日、M牧場ではそれぞれ15.3と22.5日であった.また、M牧場の子宮の形状および弾力性の回復時期は、いずれも投与群は対照群と比べて有意に早かった(P<0.05).3)子宮の修復が完了したと判断された時期は、投与群と対照群でF牧場ではそれぞれ分娩後平均35.5と41.5日、M牧場では30.1と44.0日であった.4)分娩後初回排卵までの平均日数は、投与群と対照群でF牧場では34.0と40.8日、M牧場では24.2と47.5日であった.
これらの結果から、分娩後2日にCa剤を静脈内に注射することは、子宮修復が完了するまでの日数を短縮させることを示唆しているものと考えられた.

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