日本泌尿器科学会雑誌
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経尿道的前立腺切除術における血中および尿中 Tumor Necrosis Factor の上昇
入江 啓李 漢栄門脇 和臣戸田 京子山田 好則
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1999 年 90 巻 4 号 p. 502-508

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抄録

(目的) 経尿道的前立腺切除術 (TUR-P) 後の炎症性サイトカインの動態を検討した.
(対象と方法) TUR-Pを施行した55例を対象に, 血中および尿中の tumor necrosis factor-α(TNF), interleukin-6 (IL 6), interleukin-1β(IL 1) の濃度を, 術前・術後経時的にELISAで測定した. また, 比較のため消化器外科手術を施行した23例についても同様にサイトカイン濃度を測定した.
(結果) TUR-P後, 血中TNFは6時間目に有意に上昇したが, 血中IL 6およびIL 1は上昇しなかった. 尿中の, TNF, IL 6, IL 1はいずれも術後有意に上昇し, 尿中TNFは特に術前に尿路感染を認めた症例で非感染症例に比べ有意に高値を示した. また尿中TNFは, 前立腺切除重量および灌流液量に相関して上昇した. 消化器外科手術後, 血中TNFおよび尿中TNF, IL 6, IL 1は変動しなかった.
(結論) TUR-P後, 血中および尿中TNFは有意に上昇し, これらの変動はTUR-Pに特有な現象と考えられた. TNFの測定は, TURPにおける手術侵襲の評価や術中術後の病態の理解に有用と考えられた.

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