日本泌尿器科学会雑誌
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腹腔鏡補助下ドナー腎摘出術の経験
渡辺 竜助齋藤 和英車田 茂徳米山 健志筒井 寿基高橋 公太
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2002 年 93 巻 5 号 p. 627-632

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抄録

(目的) 腹腔鏡補助下ドナー腎摘出術の有用性を検討した.
(対象と方法) 対象は2000年9月より2001年3月までに施行した腹腔鏡補助下ドナー腎摘出術11例とした. 摘出腎は全例左側であった. 方法は季肋部の高さを起点とする傍腹直筋切開で後腹膜腔に達した後, バルーンで術野を展開し, 鉤, および金属プレートで側腹部を吊り上げるガスレス法とした.
(結果) 平均手術時間, 平均出血量, 平均温阻血時間はそれぞれ209分, 219g, 4.2分であった. 経口摂取開始, 平均歩行開始はそれぞれ平均1.3病日, 平均1.8病日であった. 移植腎機能は全例良好である. 1例にトロカー挿入部の皮下出血のため, 第2病日に輸血を行った. 残りの10例は合併症はなかった. 摘出腎機能はいずれも移植後すぐに良好であった.
(結論) ガスレス後腹膜到達法による腹腔鏡補助下ドナー腎摘出術は従来の腰部斜切開で施行するドナー腎摘出術に比し, 遜色なく施行可能で低侵襲手術として有意義な方法であると考えられる.

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