2002 年 93 巻 6 号 p. 702-706
(目的) 自然破裂した腎血管筋脂肪腫 (以下AML) に動脈塞栓術 (以下TAE) を施行した症例の長期的な治療成績について検討した.
(対象と方法) 1996年11月から2000年2月までに自然破裂したAMLに対しTAEを施行した男性1例, 女性4例を対象とした. TAEは, エタノール+リピオドール注入と金属コイルやゼルフォームを組み合わせて施行した. 個々の症例の治療効果は観察期間と腫瘍の縮小率 (1-TAE後TAE前) で比較した.
(結果) 4例は1度のTAEのみで再破裂, 再出血を認めず, 腫瘍の縮小効果を認めた. 1例は, TAE後11日目に患者の希望にて腫瘍核出術を施行した.
(結論) 今回経験した症例でのTAEでの治療成績を見てみると, TAEは止血処置および術前処置だけでなく, 定期的な経過観察は必要ではあるが長期的な腫瘍縮小効果もあり, 保存的治療として今後推奨されるべき治療法となるものと考えられた.