日本透析医学会雑誌
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糖尿病血液透析患者における123I-metaiodobenzylguanidine (MIBG) 心筋シンチグラフィーによる心臓交感神経障害の検討
大橋 宏重小田 寛松野 由紀彦渡辺 佐知郎琴尾 泰典松原 徹夫松尾 仁司西田 佳男加納 素夫谷畠 進太郎平野 高弘石黒 源之大熊 俊男
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1995 年 28 巻 5 号 p. 891-896

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抄録

糖尿病性腎症による透析導入患者は年々増加の一途を辿っているが, その生存率は低く, 心血管系合併症による死亡例が多い. 糖尿病血液透析患者 (DN) の心合併症は慢性腎炎血液透析患者 (CGN) に比較して, 無痛性心筋虚血や左室拡張機能障害を呈する症例が多く, また冠動脈病変はびまん性で多枝にわたるという特徴を有している. またDNでの予後に心臓自律神経障害の関与している可能性も示唆されているが, 定量的な試みは未だ行われていない. 今回, 我々は心臓交感神経障害の評価に有効であると報告されている123I-metaiodobenzylguanidine (MIBG) を用い, DNでの心臓交感神経障害について検討した.
CGN (平均年齢52.6歳) 21名とDN (平均年齢53.9歳) 18名を対象に123I-MIBG心筋シンチグラフィーを施行し, 心臓交感神経障害について検討した. いずれの症例も心筋梗塞の既往がなく, また現在, 明らかな狭心症を呈さず, しかも安静時の201Thallium (TI) 心筋シンチグラムでdefectが証明されない症例である. なお両群の年齢, 透析期間に有意差を認めていない.
CGNに比較してDNではSPECT (single-photon emission computed tomography) でdefectを呈する症例が多く認められ, 心臓/上縦隔 (H/M) は低値を示した.
以上より, CGNに比較してDNでは心臓交感神経障害が高度かつ高頻度に認められた.

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