2003 年 23 巻 6 号 p. 606-613
アミオダロン (AMD) が慢性心不全患者の左室収縮能に与える効果を検討した.頻脈性不整脈の治療目的にAMDが投与され, かつβ遮断薬を使用しなかった慢性心不全患者のうち, AMD投与後6カ月以上生存した連続15例を前向きに観察した, NYHA機能分類 (NYHA) , 左室駆出率 (EF) , 左室拡張末期径 (LVDd) , 心拍数 (HR) , 収縮期血圧, QTc, BNPについてAMD投与開始時から6ヵ月間の変化を検討し, 年齢・性別をマツチさせた対照群15例と比較した, AMD投与後にEFとQTcは有意に増大し, NYHA, LVDd, HR, BNPは有意に低下した.EF, QTc, NYHA, LVDd, HRの変化は対照群に比べて有意に大きかった.全15例中5%以上のEFの改善を示した9例は, 5%未満であった6例に比し, その後の心不全入院回避率が有意に高かった.EFの変化とHR, QTcの変化の間には相関を認めなかった.結論: AMDは慢性心不全症例の左室収縮能を改善させる.その効果はQTcおよび心拍数の変化で説明することはできない.