日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
食物に起因するアナフィラキシー症状既往患児の保護者に対するアンケート調査
向山 徳子有田 昌彦伊藤 節子宇理須 厚雄海老澤 元宏小倉 英郎河野 陽一近藤 直実柴田 瑠美子古圧 巻史眞弓 光文
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 19 巻 1 号 p. 96-109

詳細
抄録

現在, 食物アレルギーによるアナフィラキシーに対するエピネフリン自己注射液 (商品名: エピペン注射液) の導入を目指して検討が進められている. その検討の一環として, 食物に起因するアナフィラキシー症状を経験したことがある患児の保護者 (回収サンプル数117) を対象にアンケートを実施した.
その結果, 食物アレルギーの症状で最も多いのは全身性の発赤, かゆみ, じんましんなどの皮膚症状であり, 原因食物は卵が最も多かった. 食物を摂取してからアナフィラキシーショックを起こすまでの時間は約19分, アナフィラキシーショックが起こってから治療を受けるまでに要した時間は約30分であった. 救急車により運ばれた経験を持つ患児は約30%で, 救急車を使用した場合にも治療を受けるまでに約25分を要していた.
一方, エピネフリン自己注射液については47.7%の保護者が認知していた. 食物アレルギーによるアナフィラキシーに対してもエピネフリン自己注射液の処方が必要と考える保護者は90%以上にのぼり, 約80%の保護者はその処方を受けたい意向を示した.

著者関連情報
© 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top