2005 年 19 巻 1 号 p. 96-109
現在, 食物アレルギーによるアナフィラキシーに対するエピネフリン自己注射液 (商品名: エピペン注射液) の導入を目指して検討が進められている. その検討の一環として, 食物に起因するアナフィラキシー症状を経験したことがある患児の保護者 (回収サンプル数117) を対象にアンケートを実施した.
その結果, 食物アレルギーの症状で最も多いのは全身性の発赤, かゆみ, じんましんなどの皮膚症状であり, 原因食物は卵が最も多かった. 食物を摂取してからアナフィラキシーショックを起こすまでの時間は約19分, アナフィラキシーショックが起こってから治療を受けるまでに要した時間は約30分であった. 救急車により運ばれた経験を持つ患児は約30%で, 救急車を使用した場合にも治療を受けるまでに約25分を要していた.
一方, エピネフリン自己注射液については47.7%の保護者が認知していた. 食物アレルギーによるアナフィラキシーに対してもエピネフリン自己注射液の処方が必要と考える保護者は90%以上にのぼり, 約80%の保護者はその処方を受けたい意向を示した.