日本東洋医学雑誌
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精神分裂病および他の精神病性障害患者の急性期における睡眠障害に対する黄連解毒湯の臨床効果
山田 和男神庭 重信大西 公夫水島 広子梅山 千香代加藤 文丈福澤 素子村田 高明寺師 睦宗浅井 昌弘
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1997 年 47 巻 5 号 p. 827-831

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抄録

主訴に睡眠障害 (入眠困難) を含む, 未投薬の精神分裂病および他の精神病性障害患者18名を無作為に2群に分け, 一群には黄連解毒湯と抗精神病薬 (ハロペリドール) を, 他群には抗精神病薬のみを投与し, 4週間の精神症状の推移と睡眠薬の頓服使用状況を評価した。精神症状においては, 黄連解毒湯追加投与群では非追加投与群と比較して, 思考障害 (思考解体, 誇大性, 幻覚, 思考内容の異常) において, 改善 (P=0.06) がみられた。また, 睡眠薬 (ニトラゼパム) の頓服回数においても, 非追加投与群では平均7.7回であったのに対し, 黄連解毒湯追加投与群では平均1.9回と, 同様に改善 (P=0.06) がみられた。黄連解毒湯の追加投与が, 睡眠障害を伴う精神分裂病および他の精神病性障害の急性期の治療に有効であることが示唆された。

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