肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
少量のアセトアミノフェン服用による急性肝障害の2例
安永 満松田 彰史村田 誠荻野 昌昭門 祐二新開 泰司名和田 浩半田 哲郎野田 健一福本 陽平沖田 極竹本 忠良
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 26 巻 4 号 p. 493-499

詳細
抄録

アセトアミノフェンの大量服用により,急性肝障害の発症をみることは,よく知られた事実である.最近,教室では,少量のアセトアミノフェンの服用にもかかわらず,重症肝障害を生じた2例を経験したので報告した.患者は38歳の男性と31歳の女性である.アセトアミノフェン服用量は,それぞれ,3.7gと6.4gで,いずれも嘔吐,腹痛,全身倦怠感を訴えて入院した.本剤服用時,前者はアルコールを摂取し,後者は絶食状態であった.検査上,前者は著明な血清トランスアミナーゼの上昇,軽度の黄疸を認め,心内膜炎,腎障害,急性膵炎を併発し,肝組織では小葉内に巣状壊死が散在し,中心静脈周囲にも壊死が認められた.後者でも重篤な肝障害と血小板減少がみられ,肝組織像はbridging necrosisを示していた.アルコール摂取と絶食のために,少量のアセトアミノフェン服用にもかかわらず,予想以上に肝障害が重症化したと考えられ,本剤の使用にあたり,注意が必要である.

著者関連情報
© 社団法人 日本肝臓学会
前の記事 次の記事
feedback
Top