日本内科学会雑誌
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びまん性間質性肺炎を伴つたHermansky-Pudlak症候群の1例
西村 浩一北市 正則泉 孝英長井 苑子茆原 順一松井 祐佐公門 政男木野 稔也大島 駿作金地 研二大熊 稔山川 良治
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1984 年 73 巻 10 号 p. 1497-1505

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抄録

Hermansky-Pudlak症候群はoculocutaneous albinismと血小板のstorage pool病に基因する出血傾向と骨髄のマクロファージ系細胞におけるceroid様顆粒沈着を三主徴とする比較的まれな疾患である.本症候群にびまん性間質性肺炎を合併した症例を経験したので報告した.患者は32才,男性の公務員である.集検の胸部X線像で両肺野の異常陰影を指摘され,京大胸部研に紹介され,精査のため入院した.小児の頃,白子症と診断され,小学生の頃,外斜視を指摘され,また羞明のため角膜入墨術を受けていた.鼻出血は1カ月に1回程度きたしていた.理学的所見では外斜視と水平性眼振,両側肺底部での吸気時crackleと白子眼底の所見が認められた.血液検査ではRA反応陽性, IgE高値がみられた.止血機構に関する検査では出血時間延長,凝固時間正常,血小板数正常で,血小板機能検査ではstorage pool病の所見であつた.胸部X線像では両側中下肺野に小粒状影がみられ,肺機能検査では拘束性換気障害,軽度の気道閉塞所見と拡散障害が認められた. TBLB,開胸肺生検および骨髄穿刺によつて両側肺末梢問質と骨髄にceroid様顆粒を細胞質に多数含んだtissue macrophageが認められ,肺はびまん性間質性線維化病変を示していた.本症候群は本邦では自験例を含めて17例の報告があるが,この報告例は開胸肺生検で肺病変が確認された本邦最初の症例である.

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