日本食品科学工学会誌
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調味料漬け食肉の褐色化機構とその防止法
泉本 勝利山内 花
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2003 年 50 巻 4 号 p. 157-161

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抄録

調味料液に漬けた食肉に褐色化の品質劣化が認められた.そこで,この機構と防止法を明らかにすることを試みた.
(1) 褐色化はニンニク成分のアリシンがHbやMbの酸素型ヘムタンパク質をメト化する自動酸化を促進するのが原因であった.ニンニクによるHbのメト化反応は一次反応であり,4%ニンニク溶液での半減期は20分であった.6.25%ニンニク溶液のメト化力は0.002%フェリシアン化カリウムまたは5%の2-ブタノンオキシムに相当した.このメト化は1%アスコルビン酸ナトリウムで抑制された.
(2) アリシン分解産物のジアリルジスルフィドはニンニク臭があるがメト化形成能は低かった.その半減期は7∼12時間だった.ニンニクを加熱するとアリシン生成酵素が失活してメト化を抑制できた.そのメト化はニンニクを加熱して刻む方が刻んで加熱するよりもより抑制された.しかし,その半減期は4∼5時間であり,褐色化を完全に防止できなかった.
(3) 還元型ヘムタンパク質溶液はニンニクが存在していてもメト化が進行しなかった.そこで,食肉を脱酸素包装したところ還元型ヘムタンパク質に保持され,褐色化が防止できた.脱酸素包装した冷凍食肉は一ヶ月間後にも褐色化が認められなかった.

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