溶接学会誌
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耐候性鋼板の割れ感受性について
森脇 良一高木 良治
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1968 年 37 巻 11 号 p. 1193-1201

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抄録

三種の50キロ級厚板耐候性高張力鋼板を用いて四型式のy開先拘束割れ試験を実施し,主にルート割れについて検討した結果以下のような結論を得た.
(1)拘束割れ試験片の拘束係数K0は,試験片の拘束状態で定まる修正係数aとスリット部の長さおよびそこで溶接部のしめる位置などで定まる無限板での拘束係数Kとの積
K0=a・K
で求められるということが明らかとなった.この式によって本実験における各形式の試験片の拘束係数を求あてみると,JIS Z 3158試験片(S型)がはるかに大きく2スリット式の鉄研割れ試験片より小型のもの(K型),鉄研式割れ試験片(T型),S型試験片より拘束ビード部の短かい試験片(SS型)と順次小さくなるということがほぼ定量的に明らかとなり,各鋼材の割れ発生の限界拘束度が求められた.またこの限界拘束度曲線からルート割れ発生温度RT0は,ある範囲内(本実験では拘束度<2400kg/mm・mm)の拘束度では余り変わらないが,拘束度がそれ以上になると急激に高温側に移る傾向があるということも明らかとなった.
(2)50キロ級耐候性鋼材の割れ感受性は厚板の場合でも,SM50材とほぼ同程度と考えてもよかろう。
(3)ルート割れ率はJIS Z 3158の算出法によっても,じゆう分精度よく求めうるということが確認された.

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