日本臨床外科学会雑誌
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胆管,十二指腸温存膵頭部切除術4例の検討
中川原 寿俊上藤 聖子岡田 章一吉光 裕上田 順彦澤 敏治
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2003 年 64 巻 9 号 p. 2289-2292

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抄録

十二指腸温存膵頭切除術は悪性度の低い膵頭部病変に対して,機能を温存しつつ診断,治療が可能な術式として普及してきている.当科では, Kocher授動術を行わずに総胆管を温存する方法で4症例を経験したので報告する.適応は膵頭部に限局した良性または境界病変とした.手術のポイントは, 1.膵頭全切除をする. 2. Kocher授動術を行わない. 3.十二指腸辺縁血管を温存する. 4.胆道を温存する. 5.膵管空腸粘膜吻合でRoux-en Y再建を行う.の以上5項目である.
手術時間は平均6.2±0.8時間,術中出血量は平均905±199mlで手術死亡0例であった.術後合併症は胆管,十二指腸の血流不全に起因した合併症は認めなかった.術後全粥食開始日は平均17±3.4日であった.以上より本術式は,病巣を完全に切除しかつ臓器機能を温存するという縮小手術の目的にかなった機能温存術式であると考えられた.

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