日本臨床外科学会雑誌
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大腸癌術後異時性孤立性脾転移の1例
木村 雅美長谷川 格西堀 重樹山本 雄治平田 公一
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キーワード: 大腸癌, 脾転移, 高CEA血症
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2004 年 65 巻 10 号 p. 2770-2774

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抄録

大腸癌術後4年6カ月で発症した孤立性脾転移の1例を経験した.症例は61歳,女性.平成10年6月, S状結腸癌で腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した.術後の経過は良好であったが,平成14年12月,血清CEA値が13.9ng/ml (正常値5.0以下)と上昇した.腹部CT検査およびMRI検査で最大径約3cmの脾腫瘍を認めた.その他,大腸内視鏡検査などの諸検査では異常を認めず,転移性脾腫瘍の診断で平成15年1月腹腔鏡補助下脾摘出術を施行した.摘出標本で腫瘍の病理組織学的所見は中分化腺癌でS状結腸癌転移巣として矛盾しなかった.術前高値であったCEA値は術直後には正常値範囲となり, 1年3カ月を経過した現在まで再発の徴候なく観察中である.大腸癌の異時性孤立性脾転移腫瘍の本邦報告は少なく,自験例を含めて28例であった.本症例に対して若干の文献的考察を加えて報告する.

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