日本臨床外科学会雑誌
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肝転移を伴ったPIVKA II産生胃癌の1例
小牧 孝充長岡 眞希夫山辺 和生道浦 俊哉藤井 亮知中野 昇
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2006 年 67 巻 6 号 p. 1279-1284

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抄録

PIVKA II産生胃癌の報告は稀である.今回肝転移を伴ったPIVKA II産生胃癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は77歳,男性. 2004年7月の検診で胸部大動脈瘤を指摘され9月10日に当院を受診した. CT検査で胸部大動脈瘤以外に肝S6に腫瘍も認めたため,消化器臓器も精査した.血液検査でHCV抗体陽性を認めるも,肝機能異常は認めなかった.また腫瘍マーカーはAFP, PIVKA IIのみ上昇を認めた.上部消化管内視鏡検査で胃幽門後壁に3型様腫瘍を認め,胃生検検査でAFP産生胃癌と診断された.術前診断はAFP産生胃癌と,転移性または原発性肝癌と考え11月2日に幽門側胃切除術と肝右葉切除術を行った.病理学的診断は胃,肝腫瘍ともに管状組織と胞巣状増殖から構成される腺癌であった.また免疫染色ではAFP, PIVKA II染色ともに陽性であったため, PIVKA IIおよびAFP産生胃癌と診断した.

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