日本臨床外科学会雑誌
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伝染性単核球症に合併した脾破裂の1例
浦山 雅弘瀬尾 伸夫太田 圭治川口 清渡邊 利広牧野 孝俊
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キーワード: 伝染性単核球症, 脾破裂
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2006 年 67 巻 12 号 p. 2946-2949

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抄録

症例は30歳,男性.平成17年3月中旬,風邪症状が改善せず,当院内科初診.急性化膿性扁桃炎の診断で治療したが,軽快せず,初診より2日目に再来し,採血検査にて黄疸および肝機能障害を認め,急性肝炎の疑いで入院した.入院2日目の夕方より,左季肋部痛が出現し,翌朝ショックとなった.腹部超音波および腹部CT検査の結果,脾臓破裂による腹腔内出血と診断し,緊急手術を行った.腹腔内には約1,800mlの出血を認めた.出血源はやはり腫大した脾臓で,被膜が破れて出血していた.止血温存は困難と判断し,脾臓を摘出した.病理組織学的にはCD8陽性のTリンパ球が浸潤していた.抗体検査の結果によりEBウイルスの初感染による伝染性単核球症と診断した.伝染性単核球症の合併症の一つに脾破裂があげられるものの,その頻度は0.1~0.5%とされ,非常に稀な例と考えられ,報告した.

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